
23歳の時に偶然に陶芸の世界に足を踏み入れ、磁器に絵付けをする仕事をはじめました。そうしながら自分があまりにも美術のことを何も知らないことに気付き、毎週末に美術館や画廊に出掛け、様々な分野の仕事を見始め、ものを作ると言うことはなんだろうか、どういうことなのかと考えはじめました。
4年後、縁があってスウェーデン在住日本人陶芸家の所に滞在して勉強する機会を得、ヨーロッパ各地の窯業地や美術館、風土、人に触れ、とても強い印象を受け、私はやきものを作る仕事をしようと決心して帰国し、陶工訓練校で形を作る為のロクロ技術を学びました。そして、卒業と同時に滋賀県に工房を借り、とにかくやきものを作ろう、扉を開け一歩中に入って行こうという思いだけでしたが実際には、仕事場に入ったものの何を作ってよいやら分からず、土に触れることが出来ずに悶々とする日々が続きました。自分独自のオリジナルなものを、と言う言葉と共に、切実にやきものを作ると言うことを考えざるを得ませんでした。
そして、その圧倒的な歴史とバラエティーの広さに改めて打ちのめされ呆然としながらも手がかりを求めるなかで、古代ペルシアの土器、そして、動物や植物の文様が生き生きと描かれている中近東からギリシャ、ローマ、エトルスクの焼物、ヨーロッパ各地を旅した時に見てとても強く引かれ共感した形、文様、色、装飾と言うことの意味、それらのことが何故、私の中に言葉に表すことが出来ない何か、何かを揺り動かす。そのことを確かめる為に、今、私に手に入る土と釉、電気窯を使ってどのように置き換えていけるのか、それが私のやきもの作りの始まりでした。そして、6ヶ月後に貸画廊の予約をし、どうなるか分からないけれど自分の作った物で一つの空間を満たしてみよう、そこに自分が立つ事に依って始まるのだという気持でした。
個展をする事によって作品、展示の構成、案内状のデザイン等、そして、自分が作った物に値段をつける、あらゆる事に、まるで鏡張りの部屋にいる様に隠しようなく自分の姿が見えてくるのでした。個展会場にいた一週間の間、自分の作った物と向き合い、友人、知人、通りすがりに入って来られた様々な年齢、職業、男女の人といろいろな話が出来た事、知り合えた事は個展をするまで考えもしなかった事でした。こうして多くの人の好意に支えられながら個展をする場所が広がり、現在まで作り続ける事が出来ました。そして、これからの仕事をする為にはひたすら深く掘り下げてゆくことだと感じています。